1.経営革新とは何か

中小企業者が経営革新のテーマを考えるときには、次の4つの点について事前によく検討する必要があります。

(1)新規性…どれくらいの新たな取組みであるか
(2)実現可能性---自杜の力で出来るのか、あるいは第3者が必要か
(3)競争優位性…競合他社との比較で強みはあるのか
(4)収益性---実現すると会杜の業績の収益(キャッシュフロー)を確保できるか

 (1)新規性
 「新たな取組み」とは、個々の中小企業者にとって「新たなもの」であれぱ、既に他杜において採用されている技術やノウハウを活用したり、設備の高機能化や共同化によって新たな生産方式を導入し、生産やサービス供給効率を向上するための取組み、また事業活動全体の活性化に大きく貢献する生産や在庫管理の他、労務や財務管理などの経営管理向上のための取組でもかまいません。
(2)実現可能性
  まず、経営革新のテーマが自杜の経営資源(人、もの、金)で達成可能なのか、また社内の人材で推進可能なのか、あるいは社外の協力機関はあるのかについても検討することが必要です。また、資金調達先(銀行?)との交渉は早めにしましょう。
(3)競争優位性
  他社と比較して品質、価格や納期および安全性の面など、他社と比較して優れているならばこのテーマは競争優位性があると言えます。
(4)収益性
  経営革新のテーマを考えるとき、最終的にはそのテーマの達成を通じて全社の収益(キャッシュフロー)がどれくらい増加するかを検討しましょう。

 

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2.経営革新のための自社分析

 経営革新を図るための考え方は様々ですが、ここでは「日本経営品質賞」の8つのカテゴリーを参考にして、経営革新のためのチェックポイントについて述べたいと思います。現在、全国商工会連合会にて日本経営品質賞のアセスメント基準書をベースとして、中小企業者の経営革新を進めるためのツールがあります。このシートを5段階で評価して自社の評価が低い項目を改善するようにしましょう。
 また、経営革新のテーマとしては、「顧客・市場の理解と対応」と「経営戦略の策定と実行」、及び「結果に至るプロセスの重要性」が中心であり、その他の項目はそれらを実現するためのツールと考えてください。  

経営革新のためのチェックシートはこちら 

 

 (1)経営幹部のリーダーシップの発揮
経営幹部は、経営革新に対する自らの思い(経営理念)を明らかにした上で経営戦略を打ち出 し、顧客や社員といった関係者との対話を通じて理解を働きかけることが重要です。また、経営幹部が経営の実態を公開し、社員全員が大切にしている価値観を共有することし、経営改革の達成度を確認することも大切となります。
  
 【事例1】(特殊産業用機械製造業、従業員9名)
 「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよう」をモットーにY社長は、従業員を大切にし、社会との調和を守り正しく行動するという趣旨による経営理念を明確に謳い、それを従業員に徹底するために従業員に「遂行理由とやり方」や「職務遂行の優先順位と責任」という具体的な項目に落として実践しています。また、活動の成果として前期に比較して2倍以上の経常利益獲得を実現しています。

 

(2)経営における社会的責任
経営幹部は積極的に社会と交流して、社会が何を望み何を期待しているかを察知して、コンプライアンスや社会貢献などに対して果たすべき役割を明確にし、地域住民などの意向を踏まえて会社ができる範囲内で行なうことが重要です。

 

 (3)顧客・市場の理解と対応
  「あなたのお客様は誰ですか」という問いかけに明確に答えらますか? 
顧客への製品・サービスなどが顧客の要求・期待に応え、「顧客・市場を徹底的に知る」知ることが顧客満足のために大切なのです。また、そのためにはマーケティング活動が必要不可欠です。マーケティングとは、コンセプトから価格、販売促進活動、流通活動まで、WIN-WINの関係を目指した活動の全てを指しています。

 

【事例2】(飲食業、従業員206名)
50店舗以上の定食屋チェーンを営むA社は、月間3万にもおよぶアンケート結果をもとにして、顧客ニーズに即したメニュー開発を行なっています。M社長は、「アンケートこそ店の命」と語っています。

 

(4)経営戦略の策定と実行
経営を効果的に行う上で経営戦略は欠かせないものであり、その戦略を策定するためには、十分に顧客や社員からの「現場の声」や顧客や市場に関する情報を取り入れ、会社全体で対話を繰り返すことが重要です。次の段階で、経営戦略を部門計画、個人別目標管理へと具体的計画へとブレークダウンしていきますが、上位や部門間の計画の整合性が求められます。

 

(5)社員の能力開発  
人材育成は極めて重要な課題であり、どのようにして社員の意欲と能力に応じた能力開発を行なうのかを考えなければなりません。また、社員の満足度は生産性と関係があり、特に安全、福利厚生、退職などの不満足に関する要因を解消することは大切です。

 

【事例3】(一般機械器具製造業、従業員9名)
 B社は、従業員の事業化マインド育成のため入社三年目で株を持つことができるなどの配慮がなされ(全員株主)、従業員への業績評価を個人別の売上・利益成績で行なっており、給与と連動しています。その結果、自分達が株主であるという意識を持つようになり、仕事への積極的な取り組みが行なわれ、責任感が強い上にモチベーションが高くなりました。

 

(6)結果に至るプロセスの重要性
プロセスとは企業内部での製品・サービスの企画・開発、生産・提供という一連の活動であり、プロセス全体を総合的に合理化・改善することが大切です。顧客に価値を提供するためには、顧客の求めるニーズとそれを実現するために、自社の資源の組合せと業務の流れの全てを抜本的に見直し、IT等を効果的に活用して成果を達成しすることが重要です。さらに、企業内部だけでなく協力会社との良好な関係づくりが重要です。

 

【事例4】(カバンメーカー 従業員420名)
Y社は職人が担当することが通常であったハンドバックの制作を、工程の細分化と作業の単純化を行なうことによって職人でなくても制作できるようにしました。また、5人1組のチーム制を導入し、お互い協力できるようにしたことで柔軟な対応が可能になりました。

 

(7)情報の共有化と活用
経営活動を行なうには、計画⇒実行⇒統制といったマネジメントサイクルを回すことが大切です。特に、統制のために会社が今どのような状況なのかといった「ものさし」が必要で、この「ものさし」により会社の適切な運営ができるのです。また、情報を必要な人が共有し、効率的・効果的に経営改善や業務能力の向上に役立つように、企業全体を運営することが大切です。具体的には、経理関係と業務関連の情報の整理と活用です。さらに、目標とする企業の情報を現地訪問するなどして入手することも大切です。

 

【事例7】(ダスキン加盟店 従業員420名)
M社は「仕事を人につける」をモットーに全業務のマニュアル化を進めています。これらのマニュアルはデータベースに保存されており、全事業所から全従業員が検索・閲覧することができ、業務に有効に活用できるようになりました。

 

(8)事業活動成果の分析・検討
経営活動を行うには事業活動の成果を確認し、問題点や課題を抽出して、次の計画に結びつけていくことが大切です。まず、決算書で財政状態(B/S)と経営成績(P/L)を確認して会社の状況を経営幹部は知っておかねばなりません。次に、営業関連、生産関連、総務関連などの業績関連の諸指標や顧客満足の成果を分析・検討することが大切です。

3.経営環境及び自社の強み、弱みを分析(SWOT分析)する

企業を取り巻く経営環境についての分析対象は、一般に国内及びグローバル経済の動向、企業の属する業界、市場、同業他社の分析、技術動向といったものがあります。これらの外部環境は、企業努力ではコントロールできません。ここでの予測精度を高めることは、経営革新計画全体の精度を高める上で非常に重要な意味を持っています。分析にあたっては、できる限り具体的なデータを用い、勘による分析を極力排除する姿勢が望まれます。自社の強みは「顧客はなぜ取引してくれるのか?」という視点でとらえましょう。

SWOT分析例(酒販店の場合)

 強み
・業界ネットワークが確立されている
・計数管理を行っている
・社員の定着率が確立している
・経営理念、職場目標の伝達が良好
・社員のコミュニケーションが良好
・財務内容が良好である
 弱み
・有名蔵元日本酒仕入ができない
・各部門でのシステムが統一されていない
・顧客管理が有効になされていない
・情報の共有ができていない
 機会
・消費者ニーズの多様化・多品種化
・インターネット販売の台頭
・酒販店衰退によるの販売機会増加
・EOS・EDIの導入による経営効率化
・消費者のまとめ買い傾向
・安価な輸入品の販売機会の増加
脅威
・H15年酒類販売免許(小売)の廃止予定による競合先の増加
・スーパーなどの酒類販売参入による価格低下
・酒類の消費伸び悩み
・低価格商品の伸び率増加
・酒販店の衰退による卸売の減少

また、競争分析の手法として広く知られている「競争戦略の5つの要因分析」という手法がありますので是非活用してみて下さい。具体的には、@業界内のライバル競争、A新規参入の脅威、B代替品の脅威、C売り手の交渉力、D買い手の交渉力、の5つの視点で事業を取り巻く環境を分析していきます。

4.自社の事業領域(ドメイン)を設定する

事業ドメインとは、事業を展開する範囲、領域を意味します。具体的にはどのような顧客を対象とし、その対象顧客に対してどのような事業の新しい価値を提供するのか、また、その新しい提供価値を実現するために自社の独自能力をどのように発揮していくのかを明確にすることです。どんな事業をどのように展開していくかを明確にすることで、他社との差別化もできるようになります。つまり、事業ドメインとは、「誰に、何を、どのように提供していくのか」を明らかにすることだと言えます。

5.経営革新課題を抽出して優先順位をつける

以下のようなシートを利用して、SWOT分析で得られた経営革新を実現するための経営革新課題を抽出していきます。ここでのポイントは、「自社の強みと新たな事業機会」を中心に考えることです。次に、経営目標を実現するために取り組むべきテーマを重要度と時間軸の観点から経営課題の優先順位をつけます。

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また、独自に開発した技術やサービスやブランド力などの競合他社に対する強み(参入障壁など)は、経営改革を進める上で重要なポイントです。後から参入してくる他社に簡単に真似をされないようにしましょう。

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